FF7解体真書


CHARACTER (p.14-15)

エアリス・ゲインズブール Aerith Gainsborough
age:22  height:163cm  blood type:O  birthday:2/7  hometown:アイシクルロッジ  weapon:ロッド

 スラムの花売りとして、印象的に登場するエアリス。クラウドとの運命的な出会いは、唯一の古代種の生き残りである彼女を巨大な戦いの渦へと巻き込んでいく。約束の地とはどこなのか? 宿命に翻弄されながら、エアリスは星を育む者“セトラ”としての役割を懸命に果たそうとする。過酷な結末を恐れもせず――。


ヘアースタイルには気を使っているようで、モンスターとの戦いが終わるたびに前髪を整える。うしろに結んだリボンの中には、母の形見であるマテリアを忍ばせている。


ティファとは対照的に、肌の露出度が低く、そのぶん日焼けもしていない。コスタ・デル・ソルでクラウドから「肌は白いほうが好きだ」と聞いたときに、喜びを隠せずにいる姿がかわいい。


これでねじり切るのか?

ネーミングの由来
「EARTH(大地)」の読みかたを変えて命名

セトラ
『セトラの民、星より生まれ、星と語り、星を開く。セトラの民、約束の地へ帰る。至上の幸福、星が与えし定めの地』――エアリスが母から聞いていたこの言葉は、果たしてどのような意味を持つのか。セトラ、すなわち古代種という存在をめぐり、神羅、セフィロス、そしてクラウドたち一行が、『FFVII』のストーリーをつむぎあげていく。

初期装備
武器●ガードロッド  防具●ブロンズバングル  マテリア●なし

ロングスカート
「悲劇のヒロインであるこのキャラクターのデザインは、わりとすんなり決まりました。でも、ゲームのグラフィック担当者は、ロングスカートをポリゴンで表現するのが大変だったみたいですね。僕は、ポリゴンで作るときのことを考えて……とかいうキャラクターの作りかたはしないものですから」(キャラクターデザイナー・野村哲也氏) ロングスカートはエアリスのトレードマークだが、ウォールマーケットでは、女装するクラウドと一緒に赤いドレスに着がえる。ふだんは結んでいる髪の毛をおろすと、雰囲気が変わるのに注目。

[セリフによる性格分析]
童女のように無邪気な言葉で思うままを口にするエアリス。おとなしめの外見に似合わず、危険なことにも平気で足をつっこみたがり、好意を持ったクラウドへのアタックは積極果敢。そして、ときに、その口調はどきりとするほど強い意志を示す。古代種としての使命感が、そう感じさせるのだろうか。


CHARACTER

ツォン (p.29)
タークスのリーダー。命令系統上タークスはハイデッカーの指揮下にあるが、実質的にはツォンの指示のもと的確に任務を遂行する。古顔の彼は、エアリスの幼少時からその捜索にたずさわっており、敵ながら彼女への愛着は深かったようである。

エルミナ (p.31)
伍番街スラムの外れに住む、エアリスの育ての母。戦時中、ウータイに出征した夫の帰りを待ちつづけていた折に、母親と死に別れたエアリスと出会い、ずっと我が子のように育ててきた。エアリスを深く愛し、その数奇な運命に予感めいた不安を抱いている。


その他の登場キャラクターFILE (p.32)

イファルナ
関連地域:アイシクルロッジ
エアリスの実母。七番街スラム駅で、エアリスをエルミナに託したところで息絶える。

ガスト
関連地域:アイシクルロッジ
エアリスの父。ジェノバ・プロジェクトの創始者でもある優秀な科学者。

ザックス
関連地域:ゴンガガ
物語のカギをにぎるソルジャー。エアリスの初恋の相手で、クラウドに似ている。

長老ブーガ
関連地域:コスモキャニオン
エアリスに古代種のことを伝える。ブーゲンハーゲンと星命学の研究をしている。

ひーちゃん
関連地域:スラムの教会
教会にいる女の子。エアリスがいなくなったあとも、こまめに花の世話をしている。


FFVII開発者インタビュー1 (p.33)

キャラクターデザイン担当 野村哲也
――キャラクターが誕生するまでの隠されたエピソードのようなものはありますか?
「じつは、はじめはエアリスだけで、ティファはいなかったんです。ある日曜の夜、ディレクターの北瀬さんに電話で『エアリス殺しましょう、ティファ出しましょう』と提案しました(笑)。ヒロインがふたり登場し、片方が死んでしまうというタイプのものがなかったので」

――エンディングがこれまでの『FF』とは異なり、人によって解釈が変わってくるように思われますが?
「それは意識してやりました。人によっては北の大空洞が約束の地だと考えるかもしれませんし、大地に根ざしたすべての場所が約束の地だと言う人もいるかもしれません。ただ個人的には、エンディングで緑が生い茂っている場面や、エアリス――つまり古代種がたくさんのライフストリームを導いているところからミッドガルが約束の地なのかなと考えています。シナリオ担当の野島さんがどう言うかはわかりませんけど(笑)」


FFVII開発者インタビュー4 (p.183)

イベントチーム
――キャラクターの性格は、どのように設定されたのですか?
「キャラクターデザインをした野村から基本的な設定がまわってきて、それに合わせてシナリオというかセリフを書きました。ティファとエアリスは、見た目とは反対の性格をつけようとしています。絵だけを見るとティファのほうが元気がよさそうですが、実際はエアリスのほうがイケイケというか場を仕切る女性なんですね」


八番街〜ミッドガル発最終列車 (p.138)

[クラウド:八番街にて]
 壱番魔晄炉爆破に成功した俺たちは、人目につかぬように一度散開し、個別に逃走することにした。ランデブー地点は八番街ステーション、ミッドガル発最終列車――。
 人々がテロ発生の情報に混乱するさなか、魔晄の供給が不安定になった薄暗い街路で、俺はひとりの花売りに出会った。
 印象的な瞳の娘だった。歳のころは俺と同じか、もしかしたらひとつやふたつ上かもしれない。ただ、その瞳に宿した無垢な輝きが、不意に彼女を幼く感じさせる。
 ふと、自分の瞳の色が気になった。魔晄を浴びたソルジャーであることを示す淡い輝き。この刻印は神羅を敵にまわした今も、決して消えることはない……。
「ねえ……何かあったの?」
 問いかけてくる娘から、ミッドガルでは珍しい花をひとつ買った。
「気に入ってくれた?」
 花が売れたのがうれしかったのか、娘の顔から不安げな表情が消えた。この笑顔が1ギルなら、安い買い物だったか。


スラムの教会〜エアリスの家 (p.141)

[クラウド:まどろみより覚めて]
 ずいぶんと妙なことになった。
 以前に八番街で会った花売りの娘……エアリス。その家に今、俺は世話になっている。
 どうやら俺は伍番街魔晄炉のプレートから、この伍番街スラムに墜落したらしい。教会の屋根とエアリスが育てている花が落下の衝撃をやわらげてくれたようだが、それにしてもよく生きていたものだ。
 それと、どいういうわけかエアリスは神羅に狙われているらしい。教会に彼女をつかまえにきた、妙な口調のチンピラ……レノとか呼ばれていたが、あいつの着ていた服は、たしかにタークスのものだ。神羅の裏の仕事を一手に引き受ける秘密部隊・・…そのタークスがなぜエアリスを? 彼女を“古代種”と呼んでいたな……。
 さて、夜もふけたし、そろそろ七番街スラムに向かうとしよう。エアリスは案内するなんて息巻いていたけど、それじゃどっちがボディガードだかわかったもんじゃない。気づかれないように出ていかないとな……。


ウォールマーケット〜コルネオの館 (p.142)

[ティファ:コルネオの館にて]
 うーん。うれしいやら、なんとなく腹が立つやら、今日は複雑な気分だわ。
 いくら情報をつかむためとは言え、あのスケベで名高いコルネオのところにひとりで来ちゃったのはやばいと思ったわ。覚悟を決めないとダメかな、なんて涙ぐんじゃったりして……。
 だから、死んじゃったかもしれないと思っていたクラウドが助けに来てくれたときは(しかも女装までして!)本当にうれしかった。公園で見かけたときは、たぶん幻だと思っていたのに。
 ただ、さっそく別の女の子と仲良くなっているのが気に入らないわ。まあ、エアリスってすごくいい子だし、私もすぐに好きになっちゃったから無理もないかな……。
 それはそうと、腹が立つのはコルネオのヤツよ! 私とエアリスを無視して、よりにもよってクラウドを相手に選ぶなんて! ……たしかにクラウドもコロンやティアラまでつけて、ノリノリに女装していたけども、いくらなんでも失礼よね!


エアリスの家〜プレート断面 (p.145)

[クラウド:エアリスの家にて]
 七番街は壊滅した。
 俺たちはプレート支柱爆破を阻止できなかった。ビッグス、ウェッジ、それにジェシー……みんな死んでしまった。気のいい連中だったのに……。ほかにも大勢死んだ。神羅を信じる者も、疑う者も……。
 そして、エアリスはさらわれた。
 マリンの安全と引きかえに、彼女はタークスに連行されてしまった。俺が神羅との戦いに巻きこみさえしなければ……。
 彼女の母親から、エアリスが本当の娘ではないと聞かされた。幼いころから、“古代種”の血を引く者として神羅に追いまわされていたことも……。ただ、タークスはこれまでエアリスを強引に連れ去るような、手荒なマネはしてこなかったらしい。あくまで彼女に協力を仰いでいたようだ。
 しかし今回、神羅は何もかも性急に動いている。方針の変更があったとすれば、彼女の安全は保証されないだろう。
 神羅本社ビルに乗りこむ。俺はエアリスを救い出す……必ず!


神羅ビル66〜68階 (p.148)

[ときめきのエアリス]
 クラウド、来てくれた!
 神羅のビルに連れてこられて、宝条って人に引き渡されたときは、もう二度と外に出れないんじゃないかって思った。あの人、なんだかすごく怖い……私を見る目と、自分の実見器具を見る目つきが一緒だった……。
 だいたい、私とレッドXIIIをかけ合わせ――あーっ、もうそんなコトこれ以上言えないっ。とにかく宝条博士って絶対におかしい!
 レッドXIIIにしても、「あれは宝条を油断させるための演技だ」って言ってたけど、あのときはまちがいなく本気の目をしてた……なーんてね。彼は姿こそ猛獣みたいだけど、心は人間よりも人間らしい。この星を大事に思う気持ちが、彼から伝わってくるもの。ただ、ちょっと無理してるような感じもするな――背伸びしているみたいな。
 でも、本当に、クラウドってヒーローみたい! ティファのときも、私のときも、ピンチになるとどんなところでも来てくれる!
 報酬のデート、追加しちゃお!


グラスランドエリア〜ミスリルマイン (p.152)

[エアリス:チョコボに揺られて]
 クラウド、どうしちゃったのかな。セフィロスって人のことを話してくれてから、ときどき恐い顔になる。話しかけると、すぐにいつものクラウドにもどるんだけど……。
あれから、ティファもどこかヘン。しばらく考えこんでたと思ったら、急に頭をふって……まるで何かを忘れようとしているみたい。
 でも、無理もない。ふたりとも、故郷を焼かれて、大切な人たちを殺されたんだから……。ただ、クラウドもティファもイライラしてる。セフィロスらしい黒マントの男に追いつこうとアセってる。
 チョコボファームでも最初、チョコボをつかまえるためのマテリアを買わなかったり……たしかに高かったけど、おかげで湿地帯ではミドガルズオルムに追っかけられた。あんなに大きなヘビ、やっつけられるワケないよね……みんなもっと、リラックスしなくちゃ。
 そろそろ湿地も終わりかな……あれ、なんだろ? ミドガルズオルムが、死んでる! これって、セフィロスのしわざなの……?


コレルエリア〜ゴンガガ村 (p.159)

[エアリス:壊れた魔晄炉をながめながら]
 この村がザックスの生まれ故郷だったなんて、ちょっとだけ、驚いたな。
 私の、初恋の人……って言っても、とくに親しくなったわけじゃなかった。ミッドガルで花売りをしてるときに出会って、ちょっといいなって、そう思っただけ。
 人なつっこくて、女の子には誰にだって優しくしてくれる、子供っぽいソルジャー。ザックスに出会って、神羅にもいい人がいるんだって、思えるようになった。
 だから5年前、ザックスがどこかに任務で出かけるって言ったきり姿を見せなくなったとき、ずいぶん泣いたっけ。ああ、これが初恋って言うんだって。そんな私を見て、お母さんはザックスを怒ってたな。彼に、悪いことしちゃった。
 クラウドにはじめて会ったとき、ザックスに似てるなって思った。ちょっとした仕草や、言葉づかいまで……優しいところも。でも、クラウドはクラウドだよね。私、今はきっと、ザックスよりもずっとクラウドのことが好きになってる。
 でもクラウド、にぶいからなあ。


ゴールドソーサー〜古代種の神殿 (p.164)

[エアリス:クラウドの夢の中]
 クラウド……聞こえてる?
 今、眠ったままのあなたの心に話しかけてる。私が星からの声を聞くように、あなたにもうまく伝わるといいけど。
 セフィロスは、黒マテリアを使ってメテオを呼び寄せようとしてる……この星をひどく傷つけようとしてるの。もし本当にメテオが降ってきたら、きっとみんな死んでしまう。人間も、動物も、花も……この星の生命が、消えちゃう。
 止めることができるのは、セトラの生き残りの私だけ。私、わかったの。それがセトラの役目だったんだって。
 だから、メテオのことは私にまかせて。クラウドは自分のことだけ考えて。自分のやりかたを思い出して……あなたが壊れてしまわないように。
 じゃ、そろそろ行くね。全部終わったら、また会えるよ。
 あ、クラウド……ゴールドソーサーでのデート、楽しかったよね。ゴンドラから見た夜景、とってもきれいだった。私、ずっと忘れない。
 クラウドのこと、忘れない……。


アイシクルエリア〜忘らるる都 (p.166)

[クラウド:物言わぬエアリスをかき抱きて]
 エアリスが死んでしまった。俺の、目の前で……。
 俺はセフィロスの凶行を止めることができなかった。手が届きそうな場所で、あいつの刀がエアリスを貫くのを、ただ呆然と見守っていたんだ。
 エアリスはどんなときでも、花のように笑ってみせた。でも、もうエアリスは笑わない。俺は二度と、彼女の無邪気な笑い声を聞くことはできない。
 彼女が何をした? なぜエアリスが殺されなければならない?とめどなくわき上がる、身を焼くような怒りはどうしたらいい?
 同時に、身体の芯から氷つきそうに、俺は怖い。
 祈りを捧げるエアリスを見つけたとき、俺は何をしようとした? あの瞬間、仲間が止めてくれなかったら、俺はエアリスに剣を降りおろしていた。自分の意志とは無関係に……セフィロスに黒マテリアを渡してしまったときのように――。
 俺は、誰なんだ? 元ソルジャーのクラウド……なのか?
 教えてくれ、エアリス――。


サンゴの谷洞窟〜アイシクルロッジ (p.167)

[ティファ:ガスト博士の家で]
 あれから、クラウドは言葉少なになった。前からそんなにおしゃべりなタイプじゃなかったけど、北への旅のあいだずっと、必要なこと以外話そうとしない。
 私には今、クラウドにかける言葉がない。エアリスを失っただけじゃなく、自分自身も喪失してしまいそうなクラウドに……。
 この家で、私たちは古い記録ビデオを見た。
 ここはエアリスが生まれた家だった。神羅と手を切ったガスト博士が、エアリスのお母さんと身を隠すように暮らしていた場所――。
 その平穏が、ズタズタに切り裂かれる瞬間も、私たちは見た。
 神羅の宝条――あいつは狂っている。人間の心をなくした、研究欲に取りつかれた科学の悪魔――。
 宝条はガスト博士の居場所を知りながら、ふたりのあいだに子供が生まれるのをずっと待ってた。そして生まれたばかりのエアリスとお母さんを連れ去り、ガスト博士を殺した――何の罪悪感もなく。
 エアリスの運命は、ここから狂わされていたのかもしれない。
 私は宝条を許せない。エアリスの友達として。人として。決して。


海底〜忘らるる都 (p.175)

[クラウド:滝に映る映像を見て]
 エアリスの死に顔は、穏やかだった。俺はその理由を、ようやく知ることができた。
 あのとき、エアリスが何のためにたったひとりで危険をおかし、古代種の都にやってきたのか、俺たちは考えもしなかった。彼女の死があまりにも悲しくて、その意味を知ろうとしなかった。エアリスは教えてくれていたのに。私だけが、セフィロスを止めることができる――そう、俺に伝えてくれたのに。
 破壊魔法“メテオ”と対をなす、究極の白魔法“ホーリー”――隕石の大破壊から、この星を救うことのできる唯一の手段。そのホーリーを、エアリスはすでに唱えてくれていた。自分の命と引き換えに、俺たちに……この星に未来の希望を残してくれていたんだ。
 でもまだ、ホーリーは発動していない。どこかで、あいつが邪魔をしているから。
 エアリス……キミの命をムダになんてするものか。俺たちはセフィロスを倒し、必ずホーリーの力を解き放ってみせる。
 キミが愛した、この星の命を救うために――。


大空洞 (p.182)

[クラウド:最後の戦いへ]
 感じるんだ……北の果てから。あいつが、とてつもなく強いエネルギーをたくわえているのが――。
 どうあがいても、俺たちには滅びの道しか残されていないのかもしれない。ホーリーを発動させることなく、星よりもちょっと前に死ぬだけなのかも……。
 それでも、俺は戦わなきゃならない。過去と決別するために。俺が俺であるために。そして、何よりも――凍てついた彼女の微笑を溶かすために。
 それに、ティファがいてくれる。俺の戦いは孤独じゃないんだって、ティファは教えてくれる――。
 みんなも帰ってきれくれた。バレットも、シドも、レッドXIIIも……。ミッドガルの市民を避難させながら、遠隔操作で参加してくれるケット・シー。さめた態度だけど、本当は熱い闘志を秘めたヴィンセント。乗り物酔いをおして、もどってきてくれたユフィ。
 みんなそれぞれ、戦う理由を持ってる。そしてそれは、星の命へとつながっている。
 行こう、北の大空洞へ!
 俺たちに希望を残してくれた、エアリスの想いを解き放つために!


天使の囁き